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やらまいか?

神戸です。

うなぎが食べたくなって浜松へ行きました。今はどこも空いていて東海道新幹線もしかり、ゆったり座れます。朝からあいにくの雨でしたが、現地に着いたらやむだろうと高を括っていたところ、着いたら土砂降り。まあいいやとレンタカーを借りて、目星をつけていた鰻店がオープンするまでにどこへ行こうかと思案し、日本三大砂丘のひとつという中田島砂丘へ向かいました。鳥取以外に砂丘があるなんて無知の私は知りませんでしたが、なんでも眼前に広がる遠州灘から吹く強い風によって生み出される砂の芸術「風紋」がたいへん美しいとの評判です。しかし、どんよりと曇った空から降り続ける雨のせいか砂丘はその柔らかな曲線を隠し、ただただ汚れているように見えました。失意の中ぬかるんだ砂に足を取られながら車に戻ると、駐車場の先に「浜松まつり会館」がありました。浜松人は皆祭りが大好きとは聞いていましたが、これか!と入ってみると祭りで使われる大きな凧の展示や資料映像などから、ただならぬ熱気と興奮が伝わってきます。会社によってはお祭り休暇があるそうですしね。でもさすがに今年は中止だそうで、市民の無念さが伝わってきます。

鰻を楽しんだ後は奥浜名湖へドライブしながら湖を眺め、直虎ゆかりのお寺、龍潭寺へ向かいました。ここの庭園がなんとも素晴らしい!うだうだと解説はしませんが一見の価値ありです。音声による解説を聞くと作庭が小堀遠州というお方。遠州作の他の庭園を後日調べ、鎌倉に見つけて訪問したくらいです。

浜松城を見てレンタカーを返し、最後のお楽しみである地元の酒場めぐりへと。浜松はうなぎ以上に餃子屋さんが多くあちこちにありますが、餃子以外にもご当地料理をつまみたいのでと、色々メニューがある居酒屋へ入りました。まだ早い時間なので他に客はいません。少し冷えてきたので地酒のお燗をお願いしたら、年季の入ったお母さん店員が「これのご注文いかがですか?」と、とあるメニューを指差しています。そこには「やらまいか」と書かれており、どんな料理かわからず苦笑いをしていると説明してくれました。「やらまいか」とは遠州地方で「やってやろうじゃないか」「一緒にやろう」という意味で「出世の盃」という乾杯があるそうです。グループの最年長の方が元気よく「やらまいか!」と呼びかけて、続いて「おいしょお!」と皆さんでテーブル上の「出世凧」に向かって盃を交わすらしいのです。え?それをやろうって?しかし私一人だし。と、もじもじしているとお母さんが、とにかくやりましょう!としつこいのでお猪口を持ち「やらまいか!」とやや大きな声で叫んだら、そのお母さんがひとり「おいしょお!!」と叫んだのでした。

このシュールなやりとりから解放された後に、浜松餃子や浜松ホルモンなどの遠州名物を緑茶割りや三ヶ日みかんハイボールなどと一緒に堪能していると、ようやく他のお客さんが入ってきました。もちろんそうです。地元の人は例の乾杯をどうやってするのか興味津々です。すると若者ふたりの片方が「やらまいか?」と小さな声でぼそっと言うではありませんか。しかも疑問形です!思わずしまった!と心のなかで悔しがりました。あれが、あの質問っぽい言い方が今風で、地元流なのか(?)と。もし次回があるならば、同じ過ちは繰り返さないと決意したのでした。

さ、さておき?

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