TKPブログ

シマウマあそび

神戸です。

山形の大朝日岳へ1泊2日で行ってきました。仕事終わってから新幹線で山形入りし、深夜近くにビジネスホテルへチェックイン。翌早朝に車を借り、雪纏う美しい月山(がっさん)を眼前にとらえながら、高まる気持ちを抑えつつ登山口へ車を走らせる。

駐車場は金曜なので10台程度。歩き出すと虫がブンブンまとわりつく。ブナの緑が眩しくて目に痛い森林歩きからしばらくすると、徐々に残雪がズボズボと足を捕らえ始める。雪で水が出でいない一服清水あとの急斜面をトラバースするときには、あれだけ持参するか悩んで置いてきたアイゼンとピッケルがあればと恨みながら、チェンスパをつけた足をそろそろと、ぐずぐず緩んで滑りやすい雪面にゆっくりと一歩づつ食い込ませて歩く。一瞬滑って素手を強く雪にこすりつけてしまい赤く腫れあがる。それからは暑くてもレイングローブをするようにした。

その後も今年の残雪らしい柔らかい雪の急斜面をひたすらキックステップで登っていく。アブだかブヨだかがまとわりつく。虫除けのヘッドネットを被るとしばらく来なくなるが、息苦しくて脱ぐと刺される。油断も隙もない。慈悲も是非もない。もう顔や手指に7ヶ所ほどやられてしまった。顔や首を好んで吸血するため結構な出血と激しい痒みを伴うのでつらいけど、気を抜くと滑り落ちそうになるので緊張感が痒みを抑えている。

避難小屋に泊まるのでテントはないけど、2リットルの水と缶ビールやたっぷりの日本酒が入ったザックはそこそこの重さで揺れ、ハードな雪渓登りの邪魔をする。ようやく登りきると息を呑む景色が。古寺山と小朝日岳。その先に目的地である大朝日岳が小さく見える。それらの稜線や360度に広がるパノラマは、雪と岩と山肌のコントラストが美しい、見事なゼブラ模様である。

そういえばゼブラって、最近ビジネス用語で使われてるみたい。確か、利益の追求と社会貢献という、相反するものを両立させようとする様子が白黒模様のシマウマみたいだからとか。ふーん。さて自分がやっていることは少しはゼブラみたいに見えるのだろうか。真っ黒じゃないだろう。真っ白でもないなあ。白黒どちらも入り交ざったグレーな感じなのだろうか。

などとこの美しい景色に見惚れながら無意味なことを思い巡らしつつ、米粒のように小さく見える小屋を目指してところどころ雪が道を塞ぐ稜線を歩いていると、疲れからか躓いてしまった。手のひらについた土を払って目を上げると、そこに広がるのは咲き誇るミネザクラ越しに見える果てしないゼブラ達だった。

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